100万匹の輝き 「森のホタル」を守る 岩手・折爪岳
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 Published On Jul 15, 2023

始まりは、たった一つの小さな光だった。だが、夜が深まるにつれてその数は増え、いつの間にか森を覆いつくすように至る所で明滅を繰り返していた。
岩手県二戸市、軽米町、九戸村にまたがる折爪岳(標高852.2メートル)。毎年7月中旬の夜、山頂付近では繁殖のためにヒメボタルの群れが発光しながら飛び回る。
一帯には、100万匹以上が生息しているとされ、平成30年、「折爪岳のヒメボタル生息地」は県の天然記念物に指定された。
国内でよく知られるゲンジボタルやヘイケボタルは幼虫期を水中で過ごすが、一生を陸で過ごすヒメボタルは「森のホタル」と呼ばれる。光り方は、フラッシュのように時間と間隔が短いのが特徴だ。
「駐車場の予約はしていますか?」。日暮れ前、車で山頂へと向かうと、二戸市の職員らに声を掛けられた。ヒメボタルの出現がピークとなる時間帯は山頂付近の交通規制が行われる。ライトがホタルの繁殖活動を妨げるおそれがあることと、暗闇の中を歩く観賞者の安全を守るためだ。
地元では、県天然記念物指定を契機に、地域一丸でヒメボタルの保護と観賞環境の整備を進めてきた。シーズン中の交通規制や車両の誘導、交流サイト(SNS)での情報の発信に加え、近くの小中学生らによる現地調査も行っている。
折爪岳振興協議会の陳場紀行さん(31)は 「ヒメボタルは地域の宝。守っていかなくてはいけません。ただ、自然保護と観賞環境の整備にはコストも掛かります。今後は、ホタルを観光資源として生かせるよう模索していきたい」と話す。

地域とホタル、双方が輝き続ける未来の姿を描いている。(写真報道局 松本健吾)

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