Published On May 15, 2022
相生市の相生湾では先月、夏の風物詩「屋形船」の運航が播磨地域で初めて始まりました。
運営するのはコロナ禍で苦境に立つ観光バス会社です。
(朝田アナ)
こちら道の駅「あいおい白龍城」の桟橋を渡ったところには屋形船が接岸しています。
緑色の屋根に赤い提灯が連なる全長およそ20メートルの屋形船。
相生市の道の駅「あいおいペーロン城」を発着点に、1日2便運航しています。
屋形船は、東京湾をはじめ西日本では大阪市や京都の嵐山などが有名で
日本の夏の風物詩となっていますが、神戸運輸監理部によると、現在兵庫県内で営業しているのはここ相生湾だけだということです。
午前11時、エンジン音の響きとともにいよいよ出航です!
(朝田アナ)
思ったより揺れが少なくて、ゆったりと景色が楽しめますね
相生らしいカキのイカダの様子も見られるんですね。
屋形船を運航する赤とんぼ観光の本業は貸し切りバス事業で旅行やツアーなどで団体客の送迎を行っています。
しかしコロナ禍でバスの利用者が激減、大きな打撃を受けました。
(赤とんぼ観光 川内社長)
「高校の部活も遠征自体が取りやめになってますので、ほぼない。
飲食店につきましても団体での宴会が大幅に減少していますので、それのバス事業も減少したということが一番大きな影響になります。」
「2018年のグラフがこちらです、2018年の5月の件数が8件ということを表している。
それが2020年の5月だったら1件もなかったと、そういうことで、かなり影響を受けてます。」
(赤とんぼ観光社長)
新たに何かをと思ったときに、今までにないものをやらないとこれから先弊社も存続していくことが難しいと、ですので思い切ったチャレンジということで、あえて屋形船を選ばせていただきました。
(朝田アナ)
「屋形船を運航しようってなった時、率直にどう思われましたか?」
(赤とんぼ観光 社員)
「初めて聞いたときは え、ほんまに?っていう、ここ兵庫県やで?っていう…でも他にいなかったので面白いっていうか、話題性はあるなというので行けるんじゃないかなって」
「屋形船っていうと川っていうイメージだったので、海で走るっていうのが新しくていいなと思いました」
社員らは実際に東京を訪れて屋形船を視察し、去年の秋に東京湾で使われていた中古の船を購入。
社員全員で色を塗りなおし内装も一新しました。
船の名前は赤龍丸。
赤とんぼ観光の赤とペーロンを組み合わせて名づけました。
当初は姫路港や室津港から運行させる計画もありましたが、播磨灘を代表する海の幸を安定して仕入れられる点を重視し、相生湾での運航を決めました。
(朝田アナ)
「やっぱり屋形船といえば、食事ですよね。
三段の重箱に入った和食セットには、船内で揚げたばかりのアナゴの天ぷらなど瀬戸内海の海の幸が入っています。
アナゴの天ぷらいただきます。
揚げたてなのでサックサック!中はふわふわで美味しいです。」
食事を楽しみながら、およそ14キロの周遊コースを巡ります。
湾を囲む山沿いには、発電所や船の修理工場が並び、大型フェリーなども停泊しています。
地元の人がおわん島と呼ぶ蔓島近くまで進むと相生湾の最南端で折り返し…あっという間に白龍城に戻ってきました。
およそ1時間半の相生湾の周遊。
心地よい波の揺れを感じながら、ゆったりと過ごせる屋形船です。
(客)
「船はペーロンしか知らないので、ペーロンも歴史が古いからね」
「相生はどんどん人口も減ってるし、これっというものが無いのでこういうのはいいんじゃないですか。」
(赤とんぼ観光社長)
「相生はですね、おいしいものがいっぱいあります。
カキの養殖でも有名ですし、魚も美味しい魚がとれますし、相生の隣町、龍野はそうめんが有名ですし、
赤穂はいっぱい美味しい魚がとれますし、ですので相生を含めた西播磨の地域全体として、
弊社の船が何らかの観光に役に立てればいいなという想いであります。」
コロナ禍で海へ活路を求めた観光バス会社の新たな挑戦、相生湾の新たな観光名物となりそうです。
今後は、室津港や新舞子浜などからの運航許可も取得済みで新たに航路を増やしていく予定です。
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