「愛はかげろう」雅夢(福原遥)
風の風来坊 風の風来坊
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 Published On Jan 3, 2023

1980年9月25日にリリースされた雅夢のデビューシングル。
三浦和人と中川敏一が中京大学在学中に結成したフォークデュオ。
"雅夢"という名前は三浦の行きつけの喫茶店の名前。最初からオリジナル曲しかやらないと決めた。

作曲:三浦和人
作曲:三浦和人
編曲:青木望

1980年5月に開催された「第19回ヤマハポピュラーソングコンテスト」にて優秀曲賞を受賞した。ヤマハポピュラーソングコンテスト後に、11月の「世界歌謡祭」に出場する選択肢もあったが、三浦の判断で曲のイメージにあう秋に発売するために見送られた。
三浦はインタビューで同曲について聞かれた際、「失恋の痛みから抜け出すために書いた曲」「男言葉では力強い歌詞になってしまうために、あえて女言葉で女々しい表現にした」「神様に音楽家としてのチャンスをもらえた曲」「サビが出来たとき、ヒットする手応えがあった」と答えている。

アコースティックギターを弾きながら歌うフォークデュオなのだが、この曲は少しイメージが違う。悲しげなピアノのイントロから始まるメロディーはフォークソングというよりも歌謡曲。
作詞作曲とメインボーカルを担当した三浦がイメージしていたアレンジとは違っていたのかもしれない。たぶん最初はギター2本で歌うもっとシンプルな曲だったのではないかと思う。

 窓ガラス 流れ落ちてゆく雨を
 細い指先で なぞってみる
 くもり とかして すべる指先に
 伝わる冷たさ 心にしみる

窓ガラスが曇っているということは、寒い季節を歌っているのだろう。
窓の外では雪ではなくて悲しみを表現するような雨が降っている。
窓を伝う雨が表すのは流れる涙でもあり、指先がなぞっているのはふたりの思い出かもしれない。
2行目の歌詞から主人公が女性であることが分かる。
彼女がひとりでいる部屋にはまだ彼の思い出が残っていて、悲しみは癒えていないようだ。

 愛はかげろう つかの間の命
 激しいまでに 燃やし続けて
 別れはいつも 背中合わせに
 人の心を ゆらして

サビで歌うのはゆらゆら揺れてふっと消えてしまうかげろうに例えたふたりの愛と別れ。かげろうが立ち昇る前には燃えるような愛があったのだろう。
激しく燃えた愛の前には運命的な出逢いがあったのかもしれない。
ふたりの愛はあっという間に消えてしまい、そのあとにはかげろうが揺れている。そのかげろうが消えてしまえばふたりの思い出も消えてしまう。
だけど人は愛をきれいさっぱり忘れてしまうほど単純ではない。
かげろうは短くも激しく燃えた愛の名残で、愛を忘れられない人の心もゆらゆらと揺らす。

激しく燃える愛に人は憧れるかもしれないが、その後に訪れる悲しい別れはより辛いものになるだろう。愛と別れが背中合わせになっているとしたらとても不安になってしまう。

揺れる悲しい気持ちや激しく燃えた愛を、かげろうに例えた三浦和人のセンスが素晴らしいと思える曲だ。

#愛はかげろう
#福原遥

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