地方議員“なり手”不足が深刻化 無投票や定員割れ相次ぐ…人口1400人の村で8年ぶり選挙戦 子育て中の“ママ議員”奮闘 (23/04/29
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 Published On Apr 29, 2023

統一地方選挙は終わりましたが、地方議員の“なり手”不足に悩む自治体が増えています。

 その背景にはいったい何があるのでしょうか。

 8年ぶりに選挙となった、北海道占冠村のケースを取材しました。

 人口約1400人、北海道上川地方の占冠村です。

 4月18日に告示された村議会選挙は、定数8に対して9人が立候補。

 8年ぶりの選挙戦となりました。

 立候補者:「自分の評価を、ぜひ知りたい」

 立候補者:「議会の欠員解消が第一の目的」

 2か月前、村議選を巡って深刻な問題が持ち上がっていました。

 占冠村議会 議長(当時) 児玉 眞澄さん:「立候補者が1減となるかもしれないので、現職議員はできる限り立候補をお願いする。定数割れすると恥ずかしい」

 当時の村議会議長が、現職の議員に立候補を促します。

 4年前は定数と同数の8人しか立候補せず、無投票当選。

 さらに、任期中に1人が亡くなり欠員1の状態が続いていたのです。

 朝6時半、開店前のスーパーで商品を並べているのはパートの大谷元江さん、70歳。

 村議会の副議長です。

 大谷さんが村議になったのは8年前。

 かねてから政治に興味がありましたが、立候補のきっかけは夫が亡くなったことでした。

 占冠村議会 副議長(当時) 大谷 元江さん:「男性より女性が前に出ることを嫌がる男の人がいっぱいいる。夫が亡くなって身軽になり、反対する人がいなくなったので立候補した」    

 女性の村議は2人だけ。

 大谷さんは立候補の意思を固めましたが、今回が最後と決めています。

 議員の“なり手”がいないことを、どう感じているのでしょう。

 占冠村議会 副議長(当時) 大谷 元江さん:「私は女性をと思っているので、女性に声をかけようと思うが、男性が選挙に出るより問題は多い。『私でやれるんだからやれるよ』と話をするが、なかなか『うん』と言うのは難しい」

 占冠村の村議は、年4回の本会議や委員会などで年間20日以上拘束されます。

 それ以外にもさまざまな会議や調査があり、町内会などのイベントへの参加も少なくありません。

 報酬は月14万円。約4か月分の期末手当と、公共交通機関の実費が支給されます。

 暮らしと議員としての活動のはざまで悩んでいる人がいます。

 占冠村議会の最年少議員で1児の母、下川園子さん、46歳です。

 ママ友とともに雑貨店を運営しています。

 8年前、地区唯一のスーパーが閉店したことから週3日開くことを決めました。

 村議になったきっかけは。

 占冠村議(当時) 下川 園子さん:「子育てを始めて『こうだったらいいのに』と思うことが増え、行政懇談会などで相談したがなかなか伝わらない」

 下川さんは立候補するか悩んでいました。

 長男の高校進学が間近に迫っているからです。

 占冠村には高校がありません。

 家族で高校のある自治体に転居することも選択肢の一つです。

 占冠村議(当時) 下川 園子さん:「自分のことだけで選挙に出るか出ないか決められない。出るからには任期は4年あるので、途中で辞めることは考えられない」

 悩んだ末、立候補を決めました。

 若い子育て世代の村議が現れない理由を、どう考えているのでしょう。

 占冠村議(当時) 下川 園子さん:「議員報酬だけだと生活が成り立たない。生活をベースに考えると難しい世界。議員報酬だけでは子どもを育てられない」

 結局、定数8に対して9人が立候補。

 今回の統一地方選で北海道内126の市町村議会選挙がありましたが、53の自治体が無投票でした。

 8年ぶりの選挙戦となった占冠村。

 立候補した児玉さんが、ポスターを張っていますが。

 立候補した 児玉 眞澄さん:「他の人の、仲間のポスター。お互いに協力する」

 他の候補の分まで張っています。

 お決まりの街頭演説は?

 立候補した 児玉 眞澄さん:「車も出さないし、街頭演説も人は集まらない。街宣車を出すと『うるさい』と」


 子育てと議員の両立に悩む下川さんもポスターを張ります。 

 こちらも街頭演説はなし。

 8年ぶりの選挙戦に有権者は。

 占冠村民:「今まで選挙を経験したことがない議員が、どんな考えなのかわかるのが今回の意義」 

 占冠村民:「選挙になってよかった。無投票では議員の気持ちがわからない」

 投票日は季節外れの雪が降る、あいにくの天気。投票率は73.57%で8年前より9.5ポイント低くなりました。

 当選した 大谷 元江さん:「みなさんの期待に応えられるように、精いっぱい頑張ります」

 当選した 下川 園子さん「責任を重く感じる。期待に応えられるよう頑張る」

 翌朝、ただひとり落選した候補者を訪ねると。

 落選した 藤本 重克さん:「欠員解消のため出るのが大きな私の目標だった。とりあえず欠員は解消された。次に私みたいに勇気を振りしぼって出てくれる人がいればいい」

 最下位の当選者と、わずか2票差でした。

 8年ぶりの選挙は村の将来を考えるきっかけとなったのでしょうか。

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