地歌「海人小舟」 (Jiuta : Ama - Obune) 阿部桂子・藤井 久仁江
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 Published On May 22, 2021

「海人小舟」

[歌詞]
雁は北、人は南に帰る海、おのが小舟に棹さして、
涙の雨に濡るる海人(あま)、
草の扉(とぼそ)の故郷(ふるさと)へ、
行く春惜しむ恋衣、
着つつ慣れにし夫重(つまがさ)ね、
幾夜仮り寝の旅枕、交(か)はせし事の数かずを。
関の空音(そらね)を鶏(とり)もがな、
また逢坂の折を待ち、
秋澄む月を二人眺めん。

[調弦]
三絃:本調子-二上り
箏 :半雲井調子-平調子

[作曲] 不詳
箏手付:笹尾竹之一

[作詞] 不詳

[他]
作曲者不詳。手事物。久留米の宮原検校(?~1864)から伝承されてきたものに、
熊本の笹尾竹之一(1855~1938)が箏の手をつけたものが行われており、
九州系の古曲である。手事物形式で作られているが、詞章は、長崎の
蘭医の娘が、気に染まぬ婿と結婚させられて、恋人を思って嘆き悲しむ情を
歌ったものといわれる。春になると、南の天草の故郷へ、小舟に乗って
帰ってしまう海人(あま)である恋人に対して、再び逢うことができて、
共に秋の月を眺めたいと願った詞章は、そこはかとないあわれさを
感ぜしむるものであり、「尾上の松」とは異なり、手事物とはいえ、
しんみりと聞かせる曲で、むろん歌にも比重がある。
手事部にはチラシがある。それほどの大曲ではないものの、
歌意の表現がむずかしい。

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